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2024年02月13日
トピックス

長野県王滝村で地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた「災害時の物資輸送」を想定した実証実験を実施

2024年2月13日
長野県王滝村
株式会社エアロネクスト
株式会社NEXT DELIVERY
セイノーホールディングス株式会社
KDDIスマートドローン株式会社

 王滝村(村長:越原 道廣)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下 エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下 NEXT DELIVERY)、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下 セイノーHD)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野 雅文、以下 KDDIスマートドローン)は、2024年2月7日に、王滝村において地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた「災害時の物資輸送」を想定した実証実験を実施しました。
 具体的には、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(注1)”SkyHub®”(注2)の社会実装の検討に向けて行われたものです。

写真向かって左よりKDDI スマートドローン株式会社ソリューションビジネス推進2部プロジェクトマネージャー 星野 寛明、セイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 和田 悟、王滝村長 越原 道廣、木曽地域振興局局長 渡邉 卓志、
株式会社NEXT DELIVERY取締役 青木 孝人
災害を想定した医療物資を搭載した箱を切り離して
飛び去る物流専用ドローンAirTruck
(おんたけ休暇村)
ドローン配送で置き配された医療物資を確認する
おんたけ休暇村総務課長 宮村さん
(おんたけ休暇村)

 なお、エアロネクストとNEXT DELIVERYは、令和6年1月7日より、輪島市からの要請を受けた一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の活動に参加し、輪島市内において孤立地域にドローンによる医療物資などの輸送を実施しました。災害時にドローンを活用して物資を被災地に届ける試みは、国内で初めてでしたが、ドローンの災害時における有用性、有効性について再認識されました。
 今回、王滝村において実施する実証実験においても、能登半島地震での被災地で使用したエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruck(注3)を使用し、災害時に関する課題解決を想定した実証実験を実施しました。


【実証実験概要】

1.背景と目的
 王滝村は総人口657人(2024年1月現在)で高齢化率44%となっている。御嶽山麓に位置する村であるため、急峻な場所が多く袋小路であるため、主要幹線道路が被災した場合は孤立する可能性が高い地区が点在している。そのような王滝村においては、急速な高齢化や人口減少、過疎地域を抱える中で、高齢者の見守りや買い物支援、過疎地域への災害時の物資供給、観光振興など様々な課題を有している。
 このような背景を受け、災害時などの孤立問題の解決をすべく、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として実証実験を実施しました。

2.実施内容
 今回の実証実験では、おんたけ休暇村と王滝村中心地を繋ぐ道路が災害により寸断されてしまった場合、陸路で行き来することが困難になることを想定し、崩越地域のテニスコートからおんたけ休暇村間を飛行しました。機体は物流専用ドローンAirTruckを使用し、機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズ(注4)の運航管理システムを活用しました。
 2月7日の報道関係者への公開では、崩越テニスコートからおんたけ休暇村までの片道約10㎞・約21分を、医療物資を搭載してドローン配送いたしました。
 医療物資をドローンで受け取った宮村さんは、「能登半島地震の被災地においても多くの孤立地区が発生していたが、それは決して他人事ではない。今日のドローン配送を見て、安心を感じた。ぜひ実用化して、いざという時に頼りになることを期待しています。」とコメントしています。

物流専用ドローンAirTruckで届いた医療物資を受け取った
おんたけ休暇村総務課長 宮村さん

 今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用し、ドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めてまいります。
※本実証実験は、一般社団法人環境普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されています。

以 上

資 料

(注1)新スマート物流
物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)による共創で実現を目指す。

(注2)新スマート物流SkyHub®︎
エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®︎を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub®︎TMSをベースに、SkyHub®︎Delivery(買物代行)、SkyHub®︎Eats(フードデリバリー)、SkyHub®Medical(医薬品配送)、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供する。
SkyHub®︎の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流2024年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。

(注3)物流専用ドローンAirTruck
次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®(注5)により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。日本では各地の実証地域や実証実験で飛行しトップクラスの飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高1300m、外気温-15℃という環境下の飛行実績をもつ(2023年11月)。最大飛行距離20km、ペイロード(最大可搬重量)5kg。

(注4)スマートドローンツールズ
KDDIスマートドローン株式会社が提供する、ドローンの遠隔自律飛行に必要な基本ツールをまとめた「4G LTEパッケージ」に、利用者の利用シーンに合った「オプション」を組み合わせて利用できるサービス。「4G LTEパッケージ」は、全国どこからでもドローンの遠隔操作・映像のリアルタイム共有を可能とする「運航管理システム」や、撮影したデータを管理する「クラウド」、データ使い放題の「モバイル通信」、どのエリアでモバイル通信を用いた目視外飛行が可能か事前に確認できる「上空モバイル通信エリアマップ」などのツールをまとめて提供している。

(注5)機体構造設計技術4D GRAVITY®
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。

【王滝村とは】
王滝村は長野県の最西端に位置し、木曽御嶽山の南西山麓に広がる山村です。人口は、令和6年1月1日現在、657人で高齢化率は、44.44%となっています。面積は310.86平方キロメートルと広大で、その97%は山林であり大半の利用地は王滝川に沿って点在しています。村の中心地集落の標高は900メートル台で、県下でも屈指の山間高地にあります。従って、高温多湿の日本列島の中では夏は別天地であり、村内にはキャンプ場や宿泊施設などもたくさんあり、涼を求めて村を訪れる人で賑わいます。
*詳細については https://www.vill.otaki.nagano.jp をご覧下さい。

【株式会社エアロネクストとは】
エアロネクストは、「新しい空域の経済化」をビジョンに、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、産業用ドローンの技術開発と特許化、ライセンスビジネスを行っています。コアテクノロジーは、重心、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術4D GRAVITY®︎。この4D GRAVITY®︎を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構築し、4D GRAVITY®︎ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに展開しています。また、ドローンを活用した新スマート物流SkyHub®︎の実現のために戦略子会社NEXT DELIVERYを設立し、ドローン配送サービスの社会実装、事業化にも主体的に取り組んでいます。
*会社概要は https://aeronext.co.jp/company/ をご覧下さい。

【株式会社NEXT DELIVERYとは】
エアロネクストグループのミッション「人生100年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ」に基づき、2021年に山梨県小菅村に設立されたドローン配送を主事業とするエアロネクストの戦略子会社。エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこんだ新しい社会インフラとなる新スマート物流の仕組みSkyHub®の企画運営、全国展開を推進しており、共同配送とドローン配送に関わるハード及びソフトウェアの開発、販売、運用及び保守事業等の周辺事業も展開しています。山梨県小菅村を皮切りに、北海道上士幌町、福井県敦賀市等、全国各地で地域物流の効率化と地域社会の課題解決に取り組んでいます。
*会社概要は https://nextdelivery.aeronext.co.jp/ をご覧下さい。

【セイノーホールディングス株式会社とは】
セイノーホールディングスは、物流を中心軸として、金融、人材、調達など物流周辺領域までワンストップで価値を提供しています。私たちは、お客様の繁栄に貢献するため、物流を超えて心をつなぎ、すべての人に笑顔と幸せをお届けする企業集団を目指しています。現在「Team Green Logistics」をスローガンに、業界や企業の垣根を超えたオープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)の展開を全体戦略として、日本が直面している少子高齢化・環境問題などの社会課題の解決に向け、持続可能な物流ネットワークの最適化を実現する「Green物流」の共創に挑戦しています。ラストワンマイル領域においては、社会全体の生活様式や構造の変化に伴って、買い物弱者や貧困家庭への対策として「社会課題解決型ラストワンマイルO.P.P.」の構築を積極的に推進しています。
*オープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)
社内外、業種の違い等を問わず連携した(オープン)、誰もが使える(パブリック)物流プラットフォームを構築し、プラットフォーム利用者それぞれの効率化や価値向上、さらにはインフラとして産業・環境・生活への貢献を実現する構想
*会社概要は https://www.seino.co.jp/seino/shd/overall-condition/ をご覧下さい。

【KDDIスマートドローン株式会社とは】
KDDIスマートドローンは、4G LTEなどのモバイル通信を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・物流・監視・農業・測量などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。また、国内10拠点以上でドローン国家資格に対応した無人航空機操縦士資格コースとソリューションに特化した領域専門コースを運営するドローンスクール「KDDIスマートドローンアカデミー」も展開しています。
*会社概要は https://kddi.smartdrone.co.jp/ をご覧ください。

*エアロネクストおよびエアロネクストのロゴ、NEXT DELIVERY、並びに「4D GRAVITY(R)」「SkyHub(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。
*その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。

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