ニュースリリース・トピックス
2023年02月20日
トピックス

日置市、指宿市で鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験を実施

株式会社チェンジ鹿児島
株式会社エアロネクスト
セイノーホールディングス株式会社
九州旅客鉄道株式会社
KDDIスマートドローン株式会社
2023年2月20日

 株式会社チェンジ鹿児島(鹿児島県日置市、代表取締役:中垣 雄、以下チェンジ)、株式会社エアロネクスト (東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下エアロネクスト)、セイノーホールディングス株式会社(岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下 セイノーHD)、九州旅客鉄道株式会社(福岡県福岡市博多区、代表取締役社長執行役員:古宮 洋二、以下 JR九州)、KDDIスマートドローン株式会社(東京都港区、代表取締役社長: 博野 雅文、以下 KDDIスマートドローン)は、2月14 日(火)に鹿児島県日置市(市長:永山 由高)、2月16日(木)に鹿児島県指宿市(市長:打越 明司)において、鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験を実施しました。本実証実験は、令和4年度鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験補助金事業の一環として実施したものになります。

写真左より エアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔、チェンジ鹿児島 中垣雄、日置市 市長 永山 由高、セイノーHD ラストワンマイル推進チーム 課長 須貝栄一郎
日置市高山地区で荷物を配送する物流専用ドローン”AirTruck”
ドローン配送された健康食品セットを
受け取る地域住民モニター
(高山区民会館にて)

【実証実験概要】
1.内容及び目的
 本実証は株式会社チェンジ鹿児島がコンソーシアム代表として採択された鹿児島県事業「令和4年度鹿児島県地域課題解決型ドローン実証実験補助金」を活用して実施しました。また、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(注1)”SkyHub®“(注2)の社会実装に向けて取り組むもので、ドローンの運航についてはドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社、NEXT DELIVERYが行いました。

2.検証内容と検証ポイント
 本実証では、まず日置市において、「買物代行」を想定し、日用品、医薬部外品をモニター役の地域住民へサービス提供、買い物に関する選択肢(場所・品目)が少ない条件不利地域において、買い物代行とドローン配送を行うことによる「買い物難民」の課題解決を検証。また、指宿市においては、地元の取れたて産品を消費地にいかに短時間で届けられるかを、今回の実証では道の駅山川港活お海道から山川駅まではドローン、駅から消費地はJR九州の旅客列車で貨客混載輸送を行い、当日の夕方には消費地・博多へ到着、飲食店へ納品するまでのフローの検証を行いました。また、アンケート等を通じてサービス利用者・提供者それぞれの観点から、構築した事業モデルの「実現可能性」や「持続可能性」について検証を行いました。

3. 実証実施体制
プロジェクト全体企画・統括                            :チェンジ鹿児島
機体運航および実証企画(ルート選定等)         :エアロネクスト、KDDIスマートドローン
実証企画(物流ユースケースのアドバイス等)   :セイノーHD
実証企画(自社アセットの提供、貨客混載等)   :JR九州
フィールド提供                                             :日置市、指宿市

4.実施内容
 本事業における調査・検討を通じて把握した地域課題の一つに「買い物難民」問題が挙げられます。本実証では、ドローン物流による当該問題の解決を図るべく、お客様役の住民モニターが注文した商品で構成される「健康食品セット」(約2.4kg)の各商品を人口密集地の地元スーパーで買い物代行し、離陸地点である荻自治公民館(日置市)から高山地区公民館(日置市)までの片道約4.4kmを、ドローンにより約10分でお届けしました。
 機体はエアロネクストが開発した日本初の物流専用ドローンAirTruck(注3)を用い、レベル2飛行(無人地帯上空での目視内自律飛行)を行いました。また機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズ(注5)の運航管理システムを活用しました。
 到着した商品は偏ったり崩れたりすることなく、無事、高山地区公民館グラウンドで待っていた地域住民モニターの手に届けられました。ドローンで届いた商品を受け取った地域住民モニターの方は、「今は様々な技術で便利になってきているが、自分が若い頃は想像もつかなかった。ドローンで物が届くなんて夢のようだ。」とコメントしています。
 また、指宿市の特産品である「菜の花カンパチ」や「櫻鯛」などを道の駅山川港活お海道から集荷し、最寄のJR指宿枕崎線の山川駅付近の駐車場に着陸地点を確保し、ドローンで配送を実施しました(「菜の花カンパチ」はドローン積載サイズを超えたため陸送)。その後、山川駅始発の鹿児島中央駅行きの在来線、また、鹿児島中央駅からは九州新幹線に載せ替え、博多駅まで輸送、その後、JR博多シティくうてん内の飲食店に納品され、夜の営業時間で来店客に振る舞われました。
 トラックとドローン及び、旅客列車(在来線・新幹線)を組み合わせた物流により、荷物到着までの時間短縮に加え、トラックドライバーの労働時間短縮や走行距離短縮による燃油消費量の削減等、住民と配送業者双方に様々な  メリットをもたらすことが期待されます。
 今後は、県内の様々な地域課題の解決及び地域における生活の質の維持・向上を図るべく、本実証を通じて抽出された課題の解決やその後のドローン物流の事業化を目指してまいります。

写真右より 指宿市 市長 打越 明司、
JR九州 上席執行役員経営企画部長 赤木由美、チェンジ鹿児島 中垣雄、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔、セイノーHD 執行役員 河合秀治、KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文
ドローン配送された商品
(指宿朝締め鮮魚)
列車に荷物を載せて
鹿児島中央・博多へ配送

(注1)新スマート物流
 物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で実現を目指す。

(注2)新スマート物流SkyHub®︎
 エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。
ドローン配送が組み込まれた、オープンプラットフォームかつ標準化したしくみで、ドローンデポ®︎を拠点に、SkyHub®アプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。
 SkyHub®の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。

(注3) 物流専用ドローン AirTruck
 次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®*4により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。試作機は日本各地の実証実験で飛行し日本No.1の飛行実績をもつ。

(注4)機体構造設計技術4D GRAVITY®
 飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。

(注5)スマートドローンツールズ
 KDDIスマートドローン株式会社が提供する、ドローンの遠隔自律飛行に必要な基本ツールをまとめた「4G LTEパッケージ」に、利用者の利用シーンに合った「オプション」を組み合わせて利用できるサービス。「4G LTEパッケージ」は、全国どこからでもドローンの遠隔操作・映像のリアルタイム共有を可能とする「運航管理システム」や、撮影したデータを管理する「クラウド」、データ使い放題の「モバイル通信」の3つのツールをまとめて提供している

(参考)

【株式会社チェンジ鹿児島とは】 
 チェンジ鹿児島は、地域が抱える社会問題を解決し地域を持続可能にするスタートアップ企業に投資する「鹿児島STARTUP支援ファンド」の運営を通し、相談や成長育成、出口戦略を支援する企業。
 「鹿児島STARTUP支援ファンド」は、南九州地域の経済の活性化を目的とし設立したファンドで、主に「地域が抱える社会課題解決に資する事業」を重点テーマとし、地域を持続可能にするスタートアップ企業に投資を行っている。また、当ファンドでは、株式会社チェンジ鹿児島が伴走支援を行い、スタートアップの事業成長を後押している。

【株式会社エアロネクストとは】
 IP経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、エアロネクストは、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、テクノロジーで空を設計する会社です。コアテクノロジーは、重力、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術4D GRAVITY®︎。この4D GRAVITY®︎を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構成し、4D GRAVITY®︎ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに推進しています。また、ドローンを活用した新スマート物流SkyHub®の実現のために戦略子会社を設立し、ドローン配送サービスの社会実装にも主体的に取り組んでいます。
*会社概要は https://aeronext.co.jp/company/ をご覧下さい。

【セイノーホールディングス株式会社とは】
 セイノーホールディングスは、価値創造型総合物流商社を標榜し、お客様に「時空を超えた価値提供」を目指しています。お客様の繁栄を基軸に、日本全体の効率化を意識したプラットフォームを構築すべく、オープンニュートラルな関係で業界内外において手を取り合い、お客様により良い最適なサービスを提供する「オープン・パブリック・プラットホーム構築(O.P.P.)」を具現化させることをグループの全体戦略としています。ラストワンマイル領域においては、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、貧困家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルO.P.P.の構築を積極的に推進・拡大しています。
*会社概要は https://www.seino.co.jp/seino/shd/overall-condition/ をご覧下さい。

【九州旅客鉄道株式会社とは】
 九州旅客鉄道株式会社(JR九州、本社:福岡県福岡市)は、九州新幹線をはじめ、地域に根ざした物語と特別なデザインを備えたD&S列車を九州各地で運行しており、列車に乗ること自体をお楽しみいただけます。さらに、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の運行を通じて、九州の魅力を世界に発信し、より多くのお客さまに九州を訪れていただけるよう誘客に努めています。「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」を「あるべき姿」として掲げ、安全・安心なモビリティサービスを軸に九州の持続的な発展に貢献するべく、不動産事業、ホテル事業、流通・外食事業等、様々な事業を展開し、地域に寄り添った、まちの未来づくりに向けて取り組んでいます。
*会社概要は https://www.jrkyushu.co.jp/ をご覧下さい。

【KDDIスマートドローン株式会社とは】
 KDDIスマートドローンは、4G LTEなどのモバイル通信を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・物流・監視・農業・測量などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。
*会社概要は https://kddi.smartdrone.co.jp/ をご覧ください。

*エアロネクストおよびエアロネクストのロゴおよび、「4D GRAVITY(R)」「SkyHub(R)」「ドローンデポ(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。
*その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。



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