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2024年03月26日
トピックス

水空合体ドローンを用いて、遠隔での橋脚水中点検に成功

~ 老朽化する橋梁施設の安全管理作業のDXを実現 ~

2024年3月26日
KDDIスマートドローン株式会社
株式会社KDDI総合研究所
株式会社プロドローン
東京都

 KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野 雅文、以下、KDDIスマートドローン)、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下、KDDI総合研究所)、株式会社プロドローン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:戸谷 俊介、以下、プロドローン)は、2024年3月5日、新たに共同開発した水空合体ドローン新型機で、未来のサステナブルな都市を実現する東京都「東京ベイeSGプロジェクト」にて、東京湾・中防大橋での、モバイル通信を用いた遠隔での橋脚水中点検に成功しました。

<水空合体ドローンによる橋脚水中点検実証の様子>

 水空合体ドローンは、空中ドローンと水中ドローンが合体し、モバイル通信による遠隔操作で、空を飛び水に潜ることができる世界初(注1)のドローンです。音響測位装置により、衛星利用測位システム(GPS)が使えない水中でもドローンの位置情報が分かります。
 新型機は、水中ドローンをプロドローンにて開発し、水中維持機能などのカスタマイズ開発ができるようになったほか、音響測位装置を改良し、揺れや流れのある実海域でも安定して水中の位置を把握しながら、点検ができるようになりました。また、タブレット1つで、空中・水上・水中カメラの映像・情報を確認できるようになり、少人数での運用により、効率的に点検を行えるようになりました。

<水空合体ドローン新型機>

 橋脚は全国に73万橋梁あり、2030年にはその55%が築50年以上となり、その点検効率化が大きな課題となっています。特に橋脚水中部の点検は、船を出し、ダイバーで点検する必要があるため、点検実施率が低く、より安全で効率的な点検手法が求められています。
 今回の実証にて、船を出さずに遠隔で陸から橋脚水中部分の点検が水空合体ドローンでできることが確認できました。2024年度には、同東京都「東京ベイeSGプロジェクト」にて、サステナブルな社会インフラ管理のDXに向け、社会実装に向けた実用化実証をおこなっていきます。 詳細は別紙をご参照ください。

以 上

資 料

■水空合体ドローン橋脚水中点検実証について
1.実施概要
 橋梁橋脚の点検では、①水上部変状 ②水中部変状 ③基底部洗堀状況の確認が必要となります。今回の実証は、水空合体ドローンで、これらの劣化状況を遠隔で撮影できるかの実証を行いました。
 【日程】2024年3月5日
 【場所】東京湾中防大橋

<水空合体ドローン橋脚水中点検実証点検内容>

2.実証結果
 実証では、①水上部変状は、空中ドローンカメラで、②~③の水中部の変状は水中ドローンカメラにて撮影を行いました。
 水産基盤施設点検基準に基づき老朽化度を判定した結果、広範囲の鉄筋露出・中詰め材が流出するような損傷は見られず、問題のないことが確認できました。

3.実証体制

主催東京都「東京ベイeSGプロジェクト」
スマートドローンプラットフォームKDDIスマートドローン
音響測位技術KDDI総合研究所
機体製作プロドローン

■水空合体ドローン新型機について
1.機体概要
 空中ドローンと水中ドローンを組み合わせ、空を飛び、水中に潜ることが可能です。
 水中のタービンにより水上を移動でき、GPSもしくはGNSS等の情報により、海流や風に流されることなく、水上の位置を維持することが可能になりました。また、新機体ではフロートを大型化し、水上の移動性能を向上させました。

・サイズ :1670mm ✕ 1670mm ✕ 665mm
・重 量 :31kg
・耐風性 :~10m/s
・耐水性 :IP55
・耐潮流性:~1m/s
・飛行時間:~15分
・潜航時間:約1時間(海流による)
・ケーブル:70m

2.水中ドローンと音響測位装置
 今後の水中自動航行に向け、音響測位情報に基づき水中での位置を維持する機能を搭載し、ハード・ソフト共にカスタマイズ可能な水中ドローンをプロドローンにて開発しました。
 また、測位頻度を秒間1回から5回とし、動揺補正を精緻化した音響測位装置(音響発生装置・音響受信装置)を新たに開発し、実環境での測位精度を向上させました。さらに小型化することで水中ドローンに搭載しやすくしました。

<ハード・ソフト共にカスタマイズ可能な水中ドローン>
<測位精度が向上し小型化した新型音響測位装置>

3.水空合体ドローン統合管理アプリ
 これまでばらばらに管理していた空中・水上・水中の映像・情報を、スマートドローンプラットフォーム(注2)上に集約し、タブレットアプリに統合。タブレット上で水中ドローンの映像と位置を見ながら操作ができるようになりました。

4.活用用途
 船を出さずに、沿岸から水中の様子を確認できることから、日常的に船で養殖場や定置網の様子を確認している水産業監視、洋上風力/ダム/橋脚などの水中インフラ点検、ブルーカーボン測定などさまざまな用途での活躍が期待されています。

<定置網や養殖場の水中の様子を船を出さずに定期監視>
<洋上風力、ダム、橋脚などの水中インフラ点検>
<沿岸の藻場の状況を撮影しブルーカーボン
(海での二酸化炭素吸収)量を測定>

■KDDIスマートドローンについて
 KDDIスマートドローンは、モバイル通信を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・物流・監視・農業・測量などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。また、国内10拠点以上でドローン国家資格に対応した無人航空機操縦士資格コースとソリューションに特化した領域専門コースを運営するドローンスクール「KDDIスマートドローンアカデミー」も展開しています。
詳細はKDDIスマートドローンホームページ( https://kddi.smartdrone.co.jp/ )をご覧ください。

■プロドローンについて
 「地域から一番信頼されるドローンカンパニーになる」をビジョンに、中部圏におけるドローンエコシステムの構築を目指しています。最大推奨ペイロード20kgで、量産を開始しているマルチコプター「PD6B-Type3」や、2時間飛行可能で耐侯性に優れたヘリコプター型「PDH-GS120」など、産業用ドローンの開発から生産までをワンストップで行っています。
詳細はプロドローンホームページ( https://www.prodrone.com/jp )をご覧ください。

■東京都「東京ベイeSGプロジェクト」について
 「東京ベイeSGプロジェクト」(Version 1.0)は、ベイエリアを舞台に、50年・100年先までを見据えたまちづくりを構想するプロジェクトです。本実証は、その先駆けとして、自然と便利が融合した持続可能な都市の実現に向け、中央防波堤エリアという広大なフィールドを活かし、最先端テクノロジーの実装に取り組む「先行プロジェクト」として採択・実施したものです。
東京都「東京ベイeSGプロジェクト」ホームページ( https://www.tokyobayesg.metro.tokyo.lg.jp/

(注1)空中ドローンと水中ドローンが合体し、モバイル通信による遠隔操作で、空を飛び水に潜ることができるドローンとして、3社が2021年5月31日に世界で初めて開発。
(注2)スマートドローンプラットフォームはモバイル通信による目視外自律飛行、遠隔監視制御を実現するためのプラットフォームです。
※スマートドローンはKDDIのモバイル通信ネットワークに対応したドローンで、KDDI登録商標です。

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